(1)最初から条件は不利であることを認識せよ
 専門家から見て個人1人の力はたかが知れている

 ネットで株式を売買する人、その中には証券会社の自己売買武門(ディーラー)さながらの「デイトレーダー」と呼ばれる人達も多くなっています。多くのデイトレーダーの投資スタイルは極めて刹那的で、株式投資と呼ぶよりも「投機」と呼べる手法です。資産運用、といった言葉からは最も遠くにいる人達でしょう。
 さて、デイトレーダーは2003~2005年の上げ相場で大いに利益をあげ、マスコミの寵児となった人もいます。しかし、考えてみてください。上げ相場は誰でも儲けることができます。実際、2006年に入ってからのもみ合い展開では思うような投資成果を上げられないどころか、「ライブドアショック」に始まった新興市場の急落で多大な損害を受けた方も多いようです。
 デイトレーダーは初めからプロの投資家達と同じ土俵にはいません。いくら売買ソフトなど情報インフラが整備してきたとはいえ、専門の投資家とデイトレーダーには皆さんが想像する以上に環境に開きがあります。この点は十分踏まえてください。
 例えば投資信託会社には専門のアナリストを抱え、各有力企業とも密接に関係を持ち、情報は瞬時に伝わります。ある企業が業績見通しを減額修正(株価にとっては悪材料)をしたとします。ところが、ほとんどのケースではそのような材料は市場関係者は既に把握しています。個人の方が減額に失望売りをしたとして、株価が割安になったとき、彼らは迷わず買い出動。やすやすと果実をさらいます。
 また、証券会社は損切りにしても多くの売買テクニックを擁し、極端な話、「買った銘柄を顧客にハメこむ」という裏技さえ駆使します。もちろん個人にはこんなことはできません。もちろん、不利な立場には不利な立場なりの戦い方がありますが、仕事を辞めてまで1日PCの前に座り、デイトレードに励むというやり方はあまりに非合理的なやり方です。

(2)相場にのめり込むな
  プロでも時に落とし穴に落ちる

 デイトレードがいかに良くないやり方か。「eの呪縛」という言葉があります。これをカンタンに説明しましょう。
 例えば2ヶ月(60日)で倍(200%)になる株A社があるとします。株価は100円が200円になります。売買を重ねるデイトレーダーの感覚では200%を小刻みに区切り、「複利で投資すれば果てしなく儲かる」となります。
 しかし、そううまくはいきません。前後場で120回売買をした場合、計算式はこうなります。(100円で買い付け)

100×(1+100%÷120)120(←注.カッコ右上に小さく「120」)=270円

 売買頻度をいくら多くしても結果は2.71828182845904523536という数字に収束します。これは数学用語で「e=自然対数の底」という意味です。
 ここは数学サイトではありませんから、単純に言いますと「倍になる銘柄に対し、売買頻度をいくら高めても2.7倍以上にはならない」ということです。
 さて、これだけ売買頻度を重ねればコストもかさみますし、60日間、前・後場で連続して売買に成功し続けることもまず不可能でしょう。むしろ売買頻度を重ねるほど危険性は高まります。また、いくら基準日から倍になったとしても2ヶ月ひたすら上がり続け60連騰するような株は古今東西ありません。売買頻度を重ねれば投資成果は2倍を割り込む可能性すら出てきます。
 誰もが「eの呪縛」から逃れることはできません。デイトレードはある種、こうした非合理な行動に陥る可能性があることをしっかり認識してください。

 
これは知っておきたい
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